第60章 #60 君の努力を知っている
ナイルと分かれ、団長室へ戻る時だ。前方から来たリリアにハンジは目を見開いた。
「あっ!ハンジ!いたー!!この書類に印鑑…」
「ちょっとリリア!!休んでないとダメだろう?!」
「え?今日は調子いいから……元気!」
まったく、とハンジが息を吐く。
そしてリリアが持っていた書類を取り上げるとクルリと身体を反転させた。
「部屋に戻って寝なさい!」
「えー?!今日は本当に調子いいのに!」
「ダメ!!もう作戦の日は近いんだ。ここで休まないならリリアは回収班からも外すからね!」
ガクッと肩を落とし、分かったとリリアは休む事となった。
しかし部屋で大人しくしているリリアではない。
何か美味しい物を食べに行こうと一人でニコロの働いているレストランへと向かった。
タイミングが良かったのかあまり客はおらず、すんなりと店に入れニコロも対応してくれた。
「んで?急に休みになったから好きな物でも食べようと」
「です!!」
「……だからってなぁ……お前アイス4皿目だぞ?!もうやめとけ、腹冷えるぞ?」
「えぇ……じゃあフルーツケーキ3つ!」
「また甘い物かよ……太るぞ?」
さすがに甘い物だらけの注文にニコロが眉をひそめる。
「昨日まで食べれなかったから。またいつ食べれなくなるか分からないから今日は好きな物存分に食べちゃおうと思って」
「何だ?体調悪いのか?」
「うーん?分からない。今日は凄く元気だよ?なんか頭悪いみたい」
「……頭は元から悪いんじゃ?」
「そうでしたー!!!」
「冗談だっての」
あはは、と笑って返すリリアだが、急に悲しげな顔をすると食べていた手を止めた。
ニコロが心配そうに顔を覗く。
「大丈夫か?」
「うん!ダメだねー、体調悪いと気分も下がるな」
「……よし、ちょっと待ってろ。パフェ作ってやる」
「ぱへ?!何だそれは!!」
「パフェ!!」