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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第60章 #60 君の努力を知っている



「どうしたの?リリア」

ハンジの隣を歩いていたリリアが急に立ち止まり頭を抱えて座り込んだ。
かなり痛そうに目を閉じ、額からは汗が流れている。

「リリア?頭が痛いの?」
「……」
「ねぇ?リリア?!」
「大丈夫……ごめん」

立ち上がるがフラフラしている。
ハンジは慌てて肩を支えた。

「部屋で休みな?もう今日はいいから」
「ううん、もう平気!治ったみたい。ごめんね!」

笑顔で返すリリア、確かに今は痛みはもうないようだ。
その時はハンジも本人の意思を尊重しそのまま仕事をさせたのだが、次の日も、また次の日も1日に何回も頭痛で座り込み、酷い時には嘔吐もしていた。

最初はリヴァイがいない事からストレスが原因かと思ったのだが、それとは違うようだった。
これは異常だと病院に行かせようとしたが、リリアが頑なに断り行こうとしない。

一人で悩んでいたハンジだったが、たまたま会議で一緒になったナイルにリリアの事を相談した。


「え?リリアちゃんが?」
「はい……頭痛が酷いみたいで。たまに嘔吐もするし。あの子は女型の巨人との戦いから頭を強打する事が多かったので心配で…」
「で、大丈夫だと病院にも行きたがらない、と。痺れがあるとか、呂律が回らないとかそういうのはないのか?」
「それは今の所はないみたいです」

かなり心配ではあるが、例えば頭の病気だったとしても今のパラディ島ではそれを治療する技術はない。
マーレから義勇兵が来たと言っても、まだ医療の方は全く進んでいない。
どうしようもないのが現状だ。

「暫く様子を見るしかないか。でももう少しで作戦実行の日だろ?」
「はい…リヴァイには何かあったら連絡しろと言われていますが、報告したことによって彼の士気が下がると困るので言わないでおこうと。リリアもそれでいいと言っています」
「そうだな……何かあったら言ってくれ。出来る事はなんでもする」

ありがとうございます、とハンジは頭を下げた。


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