第60章 #60 君の努力を知っている
翌日、マーレに潜入する調査兵団を見送るため、多くの兵士が港に集まっていた。
リリアも皆を見送るために来ていたが、リリアはなかなかリヴァイから離れようとしなかった。
「リリア、ほら!もうみんな行くってよ」
ハンジが後ろから声を掛けるが、リリアはリヴァイの服を握ったまま動かない。
困ったようにリヴァイが息を吐く。
「リリア、時間だ。離れろ」
「うぅぅ……寂しい…」
泣くのを我慢しているのか、鼻を啜りながら嗚咽を漏らしている。
ハンジが後ろから優しく手を引いた。
「リリア!また会えるから」
「うん…」
「それじゃあ皆、向こうに行ったらリヴァイの指示に従ってくれ。どうか作戦終了まで生き残るよう気を引き締めて。行ってらっしゃい!!」
「はいっ!!」
調査兵団が船に乗り込むと少し経過し、ついに出航した。
甲板にいる兵士達に向かって見送りの者達が手を振っている。
きっと皆心配だろう、マーレに向かう兵の家族や恋人、友人達は不安そうな表情をしているのが見て取れる。
リリアも大きく手を振った。
「行ってらっしゃい!!みんな無事に帰ってきてね!!」
船は小さくなり、やがて見えなくなった。
するとハンジがリリアの肩を叩く。
「さ、戻ろう?私達も色々準備があるからね」
「うん。よし!私も頑張る!!」
パラディ島に残った兵も作戦終了後戻ってきてからの準備をしておかねばならないため暇はない。
しかしそれから3週間程経った頃だった。
リリアの体調がおかしくなってきたのは。