第58章 #58 エレンからの手紙
1日1日が早く過ぎていく。
レベリオ収容区での作戦の準備、雷槍の整備、調整などを終え、ついにマーレに向かう前日となった。
マーレに到着した後は暫くは身を潜め、作戦実行の日まで現地の街並みなどを頭に叩き込む。
飛行船を誘導するライトを付ける位置も把握しておかねばならない。
やる事はたくさんだ。
出発すれば次に会えるのは作戦実行の日、もうその後は休む暇などないだろう。
リヴァイやリリアは作戦終了後、パラディ島に帰還した後はジークを監視する役割を与えられた。エレンに接触させないためだ。
何日かかるかさえも分からない監視になる。
ゆっくり会えるのはもうこの日しかなかった。
「忘れ物はない?忘れても届けられないからね!」
「ねぇよ」
「休める時はしっかり休んで、戦闘はかなり大変になるだろうから気を引き締めてよ!」
「誰に言ってんだよ」
「リヴァイに言ってるんだよぉ!!」
「分かってるし、そういう意味じゃねぇ!」
リリアが頬を膨らます。
側にいられず不安だらけなのだろう。
「リヴァイーー!!」
「何だよ」
「死んじゃやだよーー!!」
「勝手に殺すな!」
うるさい、とリヴァイがリリアの頬を軽く引っ張った。
「ひーん……」
「ゆっくり会えるのは今日で最後だ」
リヴァイが手を離すとリリアは頬をさすった。
この作戦でリリアはマーレには行かない、レベリオではリヴァイが皆に指示を出す事となる。
団長であるハンジも今回はパラディ島から皆を回収する方へ回るため、今回はマーレに向かう船には乗らない。
それだけはリヴァイにとって安心だった。
またリリアとは約1ヶ月離れ離れになるが、ハンジが側にいるなら心配はない。
今回は何があってもすぐに知らせを送れるよう、兵団側にも話は通した。これで手紙を止められる事はないだろう。