第58章 #58 エレンからの手紙
「手紙の内容は簡単に言うとこうだ。レベリオにて開かれるヴィリー・タイバー氏の宣戦布告の際、エレンが襲撃を仕掛ける。それに調査兵団も加われと。だが我々が参加しない場合も一人で実行する、と書いてある」
それを聞いた全員が固まった。
キヨミが言うには、ヴィリーはエルディア帝国の元貴族で救世主の末裔、レベリオ収容区に要人を集め巨人大戦の事実を告げ、世界の標的をパラディ島へ向けようとしているらしい。
エレンがその宣戦布告の際に襲撃すれば、もうパラディ島側に和平のチャンスなど微塵もなくなり、全世界から敵として扱われる。
「私達に選択肢はない。我々にとって始祖の巨人は失うわけにはいかないものだ。エレンの行動に合わせるしかない」
ハンジが歯を噛み締める。
「でも……そんな事したらなんの罪もない民間人もたくさん巻き込んでしまう…」
リリアがハンジにそう言うが、ハンジは首を振った。
「そうだよ、でも言ったろう?選択肢はない。エレンを失うわけにはいかないんだ」
早急に作戦を立て、準備をしなければならない。
パラディ島へも報告をしなければ。
一体兵団がどんな顔をするのか恐ろしくて考えたくもない。
「とにかく急ぎパラディ島へ報告して、準備出来次第我々もパラディ島へ帰ろう。あぁ…もう……」
ハンジが頭をかいた。
最悪の状態だ、もう戦うしか道がないのだから。