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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第58章 #58 エレンからの手紙



数ヶ月後にエレンからアズマビト家に届いた手紙は、全てをジークに委ねるという、なんともショッキングな内容だった。
ジークに委ねるという事は、地鳴らしを行うという事、あれだけエレンが嫌がっていたヒストリアを犠牲にするという意味だ。

手紙を見つめながらハンジは考え込んでいた。


「一体どういう事なんだ?あれだけヒストリアを犠牲にする事を嫌がっていたのに…。エレンは絶対に仲間を犠牲にする事だけはしないと思っていたんだけど…」
「それ、本当にエレンが書いたの?」
「筆跡を親しいミカサとアルミンに見てもらったけど、エレンに間違いないみたいだね」

そう、とリリアは落ち込んだ。

「きっと何か……何かあると思うよ……」
「リリア、お前いい加減エレンの擁護はやめろ。答えはこうやって本人が出してるだろうが」
「でも……」

リヴァイの言葉にリリアは視線を下げた。
リリアはあのエレンが仲間を犠牲にする事はないと今でも思っている。



"リリア兵長、オレ…何も言えないんですけど……オレも仲間を大事に思ってます。これだけは絶対に変わりません"



あの言葉を信じたい。
きっとエレンはあの時から"何か"をするつもりだったのだろう。
でも仲間は大事だと言った。きっとヒストリアの事を犠牲にするつもりはないはず。


しかしリリアのその信じたい気持ちも、数ヶ月後に再び届いたエレンからの手紙によって打ち砕かれた。


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