第56章 #56 幸せになれ
全ての会議室、食堂、様々な場所を探すが見つからない。
不安だけがリヴァイをよぎる。
(……もしかして帰ってから拷問か何か受けて病院か?まさか大怪我しちまったのか?)
「リヴァイ兵長お帰りなさい。戻られたんですか?」
偶然通りかかった新兵達がリヴァイに声を掛けた。
「丁度いい、テメェらリリアを見なかったか?」
「リリア兵長です?あー、さっき中庭にいましたよ?戻ってから療養で暇過ぎて中庭に花壇作るんだって草むしりしてました」
リヴァイは軽く礼を言うとその場から急ぎ離れ、リリアがいたと言う中庭に急いだ。
先程も色んな場所を行き来するのに通った気がするが、全然気付かなかった。
確かに言われた通りリリアは中庭にいた。後ろ姿で顔は見えないがまとめられていない銀髪が太陽に光に照らされている。
「何の花を植えようかなぁ。可愛いのがいいなぁ」
「リリア!」
「あー……ついにリヴァイの幻聴が聞こえてきた…。元気かなぁ」
「オイ!!リリア!!」
再び名を呼ばれ振り返ろうとしたその瞬間、後ろから力強く抱きしめられた。
驚いたリリアだったが本物のリヴァイと分かったらしく、固まっていた。
「探したぞ……」
「あれ…?あれ?リヴァイがどうして?」
「お前に会いたくて戻ってきた」
「え…?」
ゆっくり振り向いたリリアはリヴァイを見つめた。
「お……お帰りなさい」
「何だよ、もっと喜べよ」
「いや…まだなんか現実を受け止められてなくて……本物?ソックリさんだったらかなり怒るよ?」
「俺のソックリさんなんて見た事ねぇよ」
ようやく頭が追いついたのかリリアは目を輝かせて手を伸ばし、リヴァイに抱き着いた。