第56章 #56 幸せになれ
そして翌日、リヴァイはパラディ島に帰還するために船に乗り込んだ。
とにかくリリアの無事を確認したい、会いたいのに会えない事がリヴァイにとってかなりのストレスだった。
(何で俺こんなになっちまったんだ…)
自分が一人の人間にここまで執着するとは思っていなかった。
船が港に到着し、リヴァイはとにかく急いで壁内に戻り兵舎に向かった。
上への報告書など後回し、とにかくリリアに会いたい。
リリアの部屋の前に立ち、息を整えドアを叩く。しかし中から返事はなく人の気配がしない。
「リリア?いねぇのか?」
名を呼ぶが何も反応はない。
やはりいないらしい。ならばどこにいるのだろうか。
リリアには自分の部屋の合鍵を渡してある。以前リリアを置いて壁外調査へ行った際、彼女は寂しくてリヴァイの部屋で眠っていた。
もしかしたらまた自分の部屋にいるかもしれない、そう思いリヴァイは自分の部屋へと急いだ。
案の定、部屋の鍵が空いている。ゆっくりドアを開けると一番最初に視界に入ったのはベッドの上に積み重ねられたリヴァイの服の数々。
「……またやりやがった…」
どうやらリリアは寂しくなるとリヴァイの匂いが恋しくなるらしく、服を取り出して身に纏う何やら変なクセがある。
今回は以前の比ではなく、ほぼ全部のリヴァイの服がベッドに積み上げられていた。
「オイオイオイオイ……」
ゆっくり近付き山になった服をソッと捲っていく。
しかしそこにリリアの姿はなかった。
「………どこだ?」
どうやらここにもいないらしい。
訓練場にいるのかとも思ったが怪我をしてまだ3週間、さすがにまだ治っていない。
服の片付けは後にし、リヴァイは再び部屋を出てリリアの捜索を始めた。