第56章 #56 幸せになれ
それからどれだけ過ぎただろうか。
パラディ島からリリアの処分がどうなったかの通知は全く来ず、そのリリア本人からの手紙も一切来ない。
マーレにいるリヴァイには不安しかなく、エレンの捜索にも正直身が入らない。
「……ヴァイ……リヴァイ、おい!リヴァイ!」
「あ?!」
ハンジからの呼びかけに気付かなかったリヴァイは、正気に戻るとハンジを見上げた。
「何だよ」
「何だよ、じゃないよ。心ここに在らずだよ?ボケッとするな!」
「……何でリリアから何も来ない。あれからもう3週間だ、普通は便りの一つも寄こすだろうが!」
「私にキレられてもねぇ……アレじゃない?別にリヴァイいなくても案外平気で療養してるんじゃない?」
「あぁ?」
「冗談だって…」
おそらくリリアがこちらに便りを書いても兵団が止めているのだろう。
疑惑は100%晴れない、何かしらの疑いはあるのだ。
しかしこう知らせがないと、リヴァイが使い物にならないくらいに不安がる。
リリアが大事なのは分かるが少し面倒くさい。
「あのさリヴァイ」
「何だ」
「帰れ」
その言葉に目を丸くする。
「ほんっっっとに使えないんだよ!今のアンタ!!どこか上の空でボケッとしてさぁ。何のためにここにいるのさ?これじゃいつまで経ってもエレンが見つからない」
「………」
「だから帰れ!!んで、リリア連れて戻っておいで。上には私から強制的に帰したと書いておくから」
リヴァイが立ち上がる。
ハンジは少し言い過ぎたかな、と目をパチパチして彼を見つめた。
「帰る、直ぐに帰る。団長の命令じゃ仕方ねぇ。即帰る」
「帰りたくて帰りたくてたまらないんだね……どんだけリリア大好きだよ…」
「今から出る」
「待て!そんな急に船の準備出来ない!!明日にして!」