• テキストサイズ

誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第56章 #56 幸せになれ



「でよ……サシャは元気か?腹壊してなかったか?」
「サシャは元気だよ!マーレの美味しい物楽しんで食べてた!」
「そうか!」

安心したように息を吐くと、ごゆっくりと頭を下げてニコロは厨房へ戻って行った。
サシャを心配する彼が何だか微笑ましい。
そして二人は話をしながら食事をした。
殆どがここ最近の壁内の様子の話だったが、ナイルの家族の事、リリアもリヴァイと婚約した事を報告した。

「そうか!アイツ言ったのか」
「ん?ナイル兄ちゃん知ってたの?」
「まぁ、少し相談されてな」

そうなんだ、と呟いた後、リリアはスプーンをお皿に置き視線を下げて口を開いた。

「あの……今から言う事、リヴァイには内緒にしててくれる?」
「ん?どうした?」
「ナイル兄ちゃんは…お兄ちゃんから私達の事聞いてたよね?」
「エルヴィンとの事か?あぁ、ウォール・マリアから戻ったら結婚すると聞いた」

するとリリアは恐々とナイルを見つめた。

「お兄ちゃん…怒るかな」
「え?」
「お兄ちゃん以外の人と結婚するの……怒るかな」

エルヴィンと結婚の約束をしていたにも関わらず、リヴァイと結婚をすると決めた事に罪悪感を抱いているのだろうか。
ナイルはエルヴィン本人から自分が死んだ際の事を聞いていたため、気にも止めていなかったが、確かにリリアからしたら複雑な思いだろう。

「あのなリリアちゃん。実はエルヴィンからリリアちゃんの事を聞いた時に自分が死んだ時の事も頼まれていたんだ」
「え?」
「アイツはリリアちゃんとリヴァイが一緒になる事を分かっていたよ。勿論、自分が生きていたらエルヴィン自身がリリアちゃんを幸せにしたかったんだろうけど。アイツは本当に先を見た行動をするよな」
「………」
「全然気にする事はない。むしろリヴァイと幸せにならないとエルヴィンの想いが報われない」

ナイルは笑うと手を伸ばし、リリアの頭を撫でた。

「幸せになれ」
「うん…ありがとう」


/ 1014ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp