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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第56章 #56 幸せになれ



「大丈夫か?」
「司令……」
「すまない。手荒な真似はするなと言っていたのじゃが…。エレンの失踪に気が立っていたんじゃ、許してくれ」

共に入ってきたナイルが心配そうにリリアの顔を見た。
顔面をぶつけ鼻血が出てしまっている。

「リリアちゃん!平気か?!」
「うん。ナイル兄ちゃんごめん、後一発くらったら100倍で返そうかと思ってた」
「死ぬだろ…それは…」

あっはっは、とピクシスが笑う。

「それだけ言えるなら大丈夫じゃな。師団長から聞いた、その腕はエレンがやったそうじゃな。エレンを逃がそうとする者がエレンからそんな仕打ちを受けるとは思えん」
「しかし…油断したのは事実です。申し訳ありませんでした」
「エレンの捜索はマーレにいる調査兵団に任せるしかない。お主はしっかり怪我を治す事じゃ。何よりこんな美人に手を上げるなど言語道断じゃ!」

ピクシスはリリアを尋問した兵士を部屋から連れ出して行ってしまった。
残されたリリアとナイルは顔を見合わせ苦笑いをする。

「行こうか。とにかくまずはその鼻血なんとかしよう」
「直ぐ止まるよ。折れてはない」

ナイルに連れられ医務室に向かい特に異常はなかったため、直ぐに帰れるようになった。
そのまま調査兵団の兵舎に戻ろうとしたリリアだったがナイルがそれを止めた。

「リリアちゃん、時間あるならご飯一緒に食べないか?」
「え?いいの?」
「あぁ、王都も久し振りだろ?奢るぞ?」
「ホント?やったー!!」

飛んで喜ぶリリアにナイルは笑った。
良かった、こんなに笑ってくれるなら大丈夫そうだ。
マーレから一人で戻ってくると聞き、正直ナイルは不安だった。
リリアは精神的にとても脆い部分がある。それを今まで支えてきたエルヴィンやリヴァイがいない中、自分が彼女を支えられるか自信がなかった。
それでも自分にとって出来る事は何でもしようと決めていた。


「何が食べたい?」
「んーと……スプーンで食べれる美味しい物!」
「そうだな、今は手があまり使えないから……とりあえずレストラン行こうか」

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