第56章 #56 幸せになれ
王都に到着すると直ぐにエレンに関しての尋問が始まった。
リリアとの馴染みが深いナイルはやはり尋問からは外されてしまった。
狭い部屋にリリアと尋問する兵士が一人、入った瞬間に空気がピリピリしているのが分かる。
「早速だが、エレン・イェーガーと最後に会っていたのはお前で間違いないな?」
「間違いありません」
「エレン・イェーガーと何を話した」
「ハンジ団長からの報告書に書いてあった通りです。私はエレンとは彼の失踪に関しての会話はしておりません」
チッと舌を打たれた。
「貴様は始祖の巨人がどれだけ我々にとって重要なものか分かっているのか!?それをみすみす逃すとはっ!」
「調査兵団の私にそれを問いますか?我々が今までどれだけの命を犠牲にしてエレンを助けてきたとお思いですか?」
反論した事が気に障ったようでガンっと机を強く叩かれた。
「俺はナイルのように甘くないからな。聞かれた事だけ答えろ」
「……だから…知らないし、何も聞いてない」
「証拠は?」
「エレンと会っていたのは私一人だ。証拠なんてあるわけない」
反抗的なその返事の仕方が気に入らないのか、足を思い切り蹴られてしまった。
痛みにリリアが眉を少ししかめるが、あまり表情には出さなかった。
それがさらに苛立ちを増長させる。
「エレンを逃した事は私の失態だと認めます。ですがわざと逃したわけではない」
「ならエレンはどこにいる!!お前が逃したんだろう!!?」
「違うっ!!」
「早く吐けっ!!!」
頭を押さえられるとガンっと顔面から叩きつけられた。
「やめんか!!」
部屋に入り止めたのはピクシス司令だった。
尋問した兵士を下がらせリリアの頭を支え起こしてくれた。