第55章 #55 エレンの失踪
エレンなら話せば分かってくれる、そう信じた自分が悪かったのか。
自分を傷付ける前のエレンの泣く姿が脳裏から離れず、あの行動が彼の本心ではないと信じたい。
何より、彼は以前リリアと二人で出かけた際にこう言った。
『オレも仲間を大事に思ってます。これだけは絶対に変わりません』
その言葉を信じたい。それにエレンはあの時こうも言った。
『オレの事…嫌いにならないで下さい』
「ならない……私は…ならないからね…エレン」
"全部この子に返ってきてない?"
全ては巡る、しかしどうして自分じゃなくリリアにいってしまう。
自分の元に返ってくるより、自分の大事な人の所に返ってくる方が数倍つらい。
守ってあげられない自分にとてもイライラする。
だからあまりリリアの側にいたくない。
この件についても、もっと自分がエレンに目を向けていれば防げたのではないのか、リリアがケガをする事はなかったのではないか。
本当は力一杯抱きしめてあげたいのに。
リヴァイは暗い部屋で一人、目を閉じて時間が過ぎるのを待った。