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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第55章 #55 エレンの失踪



「だあぁぁぁー!!やっぱりそう来たか!何で私じゃないんだよぉぉ!!」

ハンジは読み終わった報告書を床に放り投げた。
それをリヴァイが拾い、机に置き直す。そんな二人を目で追いながらリリアは口を開いた。

「私、一人で大丈夫だよ?皆はエレンの捜索をして?」
「アイツらはエレン失踪で躍起になっている。一人で帰したら尋問で拷問を受ける可能性がある。ダメだ」
「平気だよ、殴られたり蹴られたりはもう何度も受けた。慣れてるよ」

リヴァイとハンジがため息をつく。
拷問に慣れるなど、そんな言葉を簡単に言ってほしくない。
確かにクーデターを起こした時もリリアは拷問を受けている。しかしあの時耐えられたのは側にエルヴィンがいたからだ。
一人の状況で彼女が精神的に耐えられる筈がない。
ハンジは目を潤ませながらリリアを抱きしめた。

「何かさ……昔拷問してたの私達じゃん……それが全部この子に返ってきてない?どうしてさ…」
「ハンジ、まだ拷問されるって決まった訳じゃないからね?ただ聴取するだけかもよ?大丈夫だって」
「リリア、お前エレンが始祖の巨人を持っているのを忘れている訳じゃねぇよな?上層部は見逃したお前をピンポイントで狙ってくるぞ」

リヴァイがリリアに忠告するが、勿論リリアだって分かっている。

「本当は半殺しにしてでも止めなければならなかった…お前の甘さが引き起こした失態だ」
「……はい」
「リヴァイ、やめなって。リリアだけの責任じゃない。エレンが抜け出したのを気付けなかった私達にも責任はあるよ?」

リリアはハンジから離れると立ち上がった。

「私、帰る準備してくる。アズマビトの人に相談して明日には出るようにするよ」
「え?明日?」
「早く帰還した方がいいでしょ?エレンの捜索はお願いね」

じゃあね、とリリアは部屋を後にした。
残されたリヴァイとハンジは顔を見合わせ、睨み合った。


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