第55章 #55 エレンの失踪
「こけて骨を折るのはまぁ…分かるが、どうやったら道端でこけたくらいで手が明後日の方向を向く?折れた後に衝撃食らったんじゃねぇのか?」
「……道端でこけたって…こけ方によってはこうなるでしょ」
右腕を隠そうと体を後ろに向けたがリヴァイが左肩を掴みリリアと視線を合わせた。
「リリア、誰がやった。言え」
「だから……こけたんだって……」
「リリア!!」
ビクッとリリアの肩が上がる。
すると涙をポロポロと流し始め、呼吸が荒れ始めてしまった。
「だって…だって……リヴァイ怒るもん…」
「怒るに決まってんだろうが!!ただでさえお前は片腕しかなくて不自由なんだぞ?それなのに骨まで折れたら生活出来なくなるだろうが!!誰かがやったんなら絶対に許さねぇよ!!」
「リヴァイ、やめな」
熱くなるリヴァイを後ろからハンジが宥めるように声を掛けた。
リリアの言葉からしてエレンがやったのは確実だろう。しかしエレンに優しいリリアは絶対にエレンにやられたなどとは言わない。
このまま問い詰めても無意味だ。
「とにかく病院へ。エレンの捜索は残りのメンバーでやるから、リヴァイは早くアズマビトの所へ戻って病院に連れて行ってもらってくれ」
「あぁ。リリア」
「やだ……私も探す。腕は大丈夫だから…」
「いい加減にしろ!!!」
「リヴァイ!やめなって!!リリア、心配いらない。今は病院に行っておいで?ね?」
嫌がるリリアを無視し、リヴァイはリリアを抱き上げ足早に会場を後にした。