第55章 #55 エレンの失踪
その頃、ハンジはリヴァイの隣にいるはずのリリアがいない事に気が付いた。
「あれ?リリアどこ行った?」
「ハンジさん!!」
アルミンが慌ててハンジの所に走り込み、周りを気にしながら静かに口を開いた。
「エレンがいません!辺りを探したんですがどこにも…」
「え?」
エレンがいない、リリアもいない。
嫌な予感が頭をよぎる。とにかく早く探さなければ。
目が覚めるとまだ同じ場所だった。
起き上がろうとしたが腕が痛くて力がなかなか入らない。
一体いつまで気を失っていたのだろうか、しかし早く起きてエレンを追わなければ。
足に力を入れどうにか起き上がったリリアは、建物の隙間から出るとエレンを探した。
右腕が痛くて痛くてたまらない、しかし今は自分の事よりエレンだ。
「リリア!!」
人混みの中から誰かが名を呼んだ。
ハンジとリヴァイだ。
「どこにいたの?!探したんだよ?」
リリアに近付いた二人が目を疑う。
泥だらけの服、傷付いた顔、何より力の入っていない右腕。
「ちょっと…?どうしたの、そんなボロボロになって…。エレンと一緒にいたんじゃないの?」
「いたんだけど……いなくなっちゃった…止めたんだけど……ダメだった…」
「まさかそれ…エレンに?」
「ちがっ……これはこけちゃって…」
リヴァイが眉間の皺をさらに深めてリリアの前に立つ。
リリアは震えながらリヴァイを見上げた。