第54章 #54 楽しき時間
「ここ数年どの国も血液型に躍起になっているからな。悪魔の血がその辺に紛れてちゃ夜も眠れたもんじゃねぇよ」
するとリヴァイが少年を片手でヒョイっと抱え、少年は驚きリヴァイを見上げた。
「!?」
「オイ。あんた何をしている」
「誰がスリだと言った。俺は「お前の財布じゃねぇ」と言っただけだ。それはこのガキの"姉"の財布だってな」
リヴァイがサシャを見ると慌ててハンジが口を開く。
「イヤー、複雑な家庭なものでね…ねぇ?お姉ちゃん?」
「あ…あぁ、弟がご迷惑をおかけしました!!」
サシャが話に合わせて頭を下げる。
「ふざけんな、そんなデタラメ!!」
「行くぞ」
リヴァイは走り出した。
それに続いてリリアやハンジら調査兵団の全員が追いかける。
暫く走り、人がいない所まで移動するとリヴァイは少年を解放した。
しかしすぐに少年の姿がなくなり、リヴァイは辺りを見渡した。
「あのガキどこ行った?」
「あそこ」
ハンジが指差した方向に少年がいた。
何やら嬉しそうにしているが、少年の手には財布があった。
まさか、とリヴァイがポケットを確認すると入っているはずの財布がない。
盗られた。
「わぁ!リヴァイから盗るとか凄い子」
リリアは走り去っていく少年を見送った。
「……まぁ、アズマビトから貰った小遣いだしな…」