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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第54章 #54 楽しき時間



リリアは言葉なく人や店を眺めていた。
ここがマーレ、パラディ島とは全然違う。

するとリヴァイがリリアの手を握った。
ビックリしたリリアがリヴァイを見ると、グッと手に力を込められた。

「ボーッとしてんな。はぐれる」
「あ、ごめん。圧倒されちゃって」

その頃エレンもぼんやりと辺りを見ていた。
父親の記憶で知っているからか、あまり驚いた様子もない。
だんだんと皆から少しだけ離れ始め、ミカサが声をかける。

「ねぇ、エレン。何があるか分からないから…私の側を離れないで。………エレン?」
「あ、あぁ」
「何をボンヤリしてるんだよ、エレン!僕達外の世界にいるんだよ?」

アルミンがエレンの手を引く。

「あぁ…これが海の向こう側…なんだよな」

「オイ、離れて歩くな。お前は特に」

リヴァイがエレン達にも声をかけ、隣にいたリリアも手招きをしていた。

「今行きます!」

ふとリリアとエレンの目が合う。
エレンはやはり元気があまりなく、ゆっくりと視線を外されてしまった。

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