第53章 #53 いざ、マーレへ
「お疲れさまです!リヴァイ兵長、リリア兵長」
「みんなお疲れ様。いい天気で良かったね!」
チラリとエレンの方を見るとエレンは一人で海の向こうを見つめている。
リリアは荷物を置くとエレンの隣に立ち、お尻で横にトンっとエレンを押した。
「エレン!」
「……」
「元気出して行こうね!美味しいものあるかなぁ?」
ニコニコ笑うリリア、しかしエレンは微妙な表情だ。
昨日の事があったからだろう、仕方ないといえば仕方ないが、雰囲気悪く出発したくはない。
するとエレンは苦笑いをしてリリアを見た。
「リリア兵長、最近食欲がサシャ並みですね」
「えっ!あはは!!」
「でも兵長はもっと食べた方が良いですよ?」
「なら着いたら色々食べちゃお!」
エレンも気を使ってくれたのだろう。
無理矢理な笑顔が少し寂しいが、話してくれて嬉しい。
するとハンジが船へと乗船し、皆が乗っているか確認するとパンパンっと手を叩いた。
「皆いるね?それじゃあマーレに向けて出発だ!!」
ついに調査兵団の9人はパラディ島から出港した。
まだ見た事のないマーレ大陸に向かって。
期待と不安が入り混じり、なんとも複雑な感情だが何となくワクワクもする。
これはもう調査兵団の性だろうか。