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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第53章 #53 いざ、マーレへ



リリアは手すりから少し身を乗り出し海面を見た。
日光に照らされキラキラと綺麗だが、底は見えず落ちたらひとたまりもないだろう。
後ろからリヴァイがリリアの服をグッと握り少し引っ張った。

「馬鹿野郎、あんまり乗り出すと落ちるぞ」
「これはさすがに落ちたらマズイね」
「マズイどころじゃねぇよ」
「でもリヴァイが助けてくれるハズ!」
「そりゃあお前……俺も死ぬだろ…」

「お二人ー!!!」

遠くからハンジが二人に向かって走り込んできた。
ドンっとぶつかり二人揃って手すりからはみ出す。

「ひぇえええ!!!!」
「おまっ!!!」

リヴァイは慌てて片手でリリアを抱き寄せ、もう片方の手で手すりを掴み踏ん張った。
冷や汗をかきながらリリアとリヴァイが膝を着く。

「あ、ごめーん!」
「クソが!!殺す気か!?」
「……一瞬覚悟した……」

立ち上がるとハンジは二人の間に入り込み、肩に手を回して海の方を向いた。

「まさかこんな所まで来れるなんて思わなかったよね。ほら、見えてきたよ」

視線の先の海の向こう側に微かに大陸のようなものが見えてきた。

「凄い……本当にあったんだ。海の向こうに……お兄ちゃん見えてるかな…」
「……」

リヴァイとハンジはリリアを見つめた。
今の言葉は無意識に出たのだろう。きっとエルヴィンにもこの景色を見て欲しかった筈だ。
すると後方から他のメンバーも集まり、その大陸を視界に入れた。
だんだんとその大陸が大きく近付き、港や建物が見え、小さく人の姿も見える。

「本当に壁の外にも街があって…人が住んでいるんだな」
「壁の外とか他人の前で言うなよ」
「あぁ、分かってるって」

「いよいよですね。私達が壁外の地を踏む初の壁内人類…」
「だから言うなって」

ジャンが心配そうにコニーとサシャに釘を刺した。
しっかりと前を見据え、ハンジが皆に向けて口を開く。


「これこそが元より我々に課せられた仕事と言える。調査開始だ!」


ついにパラディ島の調査兵団が壁の向こう側、そして海を越えた先にあるマーレに足を踏み入れた。

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