第53章 #53 いざ、マーレへ
「リリア、寝れないの?」
振り向くとハンジが立っていた。
「ハンジこそ」
「私はそろそろ寝るよ、もう結構眠い!!一人?リヴァイは?」
リリアは苦笑いをした。
今までここにエレンがいた事は言わない方がいいだろうか。
「私だって一人になりたい時もあるよ」
「そりゃそうだ」
ポケットから何かを取り出したハンジ、笑顔でリリアに差し出した。
手の平を開けてみると飴玉が一つ乗っている。
「飴だ!」
「ちょうど今日貰ってね!私は食べないからあげる」
「ありがとう!」
笑顔で飴をポケットに入れるがあまり元気がない。
ハンジはリリアの頭を優しく撫でた。
「どうしたの?元気ないぞ?」
「ハンジ、私そんなに頼りない?」
「え?そんな事ないよ。私はリリアの事頼りにしてるよ」
「えっと……部下が元気ない時に頼ってもらえなくてションボリしてます」
なるほど、とハンジが頷いた。
おそらくというか絶対にエレンの事だろうと気付く。
最近彼の元気がなく、何か考え事をしている事が多いのをハンジも分かっていた。
「リリアに心配かけたくないんじゃないかな。もう少し様子を見て、あまり改善しない様ならもう一度声を掛けてあげな?」
「そうだね、そうする」
「もう遅いし寝ないと。明日は寝坊出来ないよ?それともたまには私と寝るかい?」
冗談のつもりで言ったハンジだが、リリアは目をキラキラさせて見ている。
どうやら一緒に寝たいらしい。