第52章 #52 約束
日は暮れて空にはもう星が輝いていた。
コンコンとドアを叩く音に、エレンは横になっていた体を起こしドアを開けた。
するとそこには何故かリヴァイの姿。
「ひぃっ!!すみません!!」
「あ?何もしてねぇだろうが」
つい反射的に謝ってしまった。
どうしてここにリヴァイが来たのかが理解が出来ず固まっていると、後ろからひょっこりとリリアが顔を出した。
「やほ!エレン!」
「リリア兵長?わぁ……凄く綺麗ですね」
チッとリヴァイから舌打ちが飛び、エレンの肩が上がる。
「リヴァイ、威嚇しないでよ!エレン、これね、お土産」
「え?」
リリアから手渡された淡い緑色の香り袋、フワリとその場に良い香りが漂う。
「エレンには心配かけちゃって…色々気遣ってくれてありがとう。私、凄く救われたの」
「いえ、そんな!リリア兵長が安心出来たなら良かったです」
「これを渡したかったの。お休み中にごめんね?」
「ありがとうございます!大事にします!」
「色のアドバイスはリヴァイだよ!」
えっ、とエレンはリヴァイを見た。
するとリリアがまたね、と手を上げ、二人はエレンの部屋から遠ざかっていった。
部屋に戻ったエレンは貰った香り袋を見つめる。
手の平に収まる小さな可愛らしい香り袋、いかにもリリアが選びそうな物だ。
エレンは嬉しそうに微笑むとそれをポケットにしまい、ポンポンと上から優しく叩いた。