第51章 #51 偽物の好き
話が終わり、皆は壁内へ戻る事となった。
104期のメンバーはここまで出来ている線路を使いトロッコで、リリアはハンジとリヴァイと共に馬で戻る。
その際にエレンがリリアに声を掛けた。
「リリア兵長!」
あまり元気なく振り向く。
あれから一言もリリアは言葉を発していないため、エレンは心配でならなかった。
「リリア兵長、本当に大丈夫ですから……ね?リヴァイ兵長の事、信じてください」
ギュッと水の容器を抱きしめ、リリアは頷いた。
「行くぞ」
リリアが水を手放さないためリリアの体を抱き上げて馬に乗せ、リヴァイは後ろに乗ると腰に左腕を回し、しっかり固定した。
エレンは3人が遠ざかるまで見送ると、皆が待つトロッコへ向かった。
「でさ、いきなりなんだけどリリア。あのね?本当に立ち聞きするつもりはなかったのよ」
「………」
「リリアにリヴァイの事云々言ってきたのはイェレナだろ?」
ハンジの問いにリリアは小さく頷いた。
朝にリリアが出かける際、ハンジは遠くから二人のやりとりを目撃していたのだ。
会話は聞こえなかったが、二人が話していたのは知っている。
だからリリアの服装の事も知っていて、リヴァイをからかったのだ。
「まさかそんな事言われてたなんてね…でもまぁ、気にする事ないよ?エレンの言う通り、リヴァイはリリア大好きだからさ!ねっ?リヴァイ」
「当たり前だ」