第51章 #51 偽物の好き
「おぉーい!!」
少し離れた所からハンジは待っている104期達に声を掛けた。
後ろにはリヴァイと、ちゃんとリリアも付いて来ておりエレンはホッとした様に胸を撫で下ろした。
「いやぁ〜、この暑い中ご苦労様だよぉ〜」
「いや、俺達はこのバカの護衛で仕方なく…」
ジャンが隣にいたエレンをジッと見た。
「ヒィズルの件でしょうか」
「たった今、アズマビトから返事が来た」
「それで?!」
「ダメだった。ヒィズル国は取り付くしまもないようだ」
皆が落胆したかのように肩を落とす。
何となくそんな気はしていたが、やはり失敗したとの報告は残念すぎる。
「やはりヒィズルはパラディ島の資源を独占取り引きしたいのだから他国との貿易に協力などしない。そして世界はパラディ島が災いの種であり続ける事を望んでいる。それが国々の団結を促し、世界の安定を担保するからだ」
「じゃあ…俺達は地鳴らしに頼るしかなくて…ヒストリアの犠牲は避けられないって事ですか」
「そうなる」
リヴァイがキッパリと一言で返すとエレンは悔しそうに拳を握った。
「そんな…こちらの意図も計らず、勝手に悪魔だって決めつけて…どうして皆が平和になる道を考えられないんだ」
「それは…分からないからだと思う。私達が何者か分からないから恐れている」
アルミンの言葉にミカサが返す。
「そうだ。顔の見えない相手なんかを信用するわけにはいかないからね。だから会いに行こう。分からないものがあれば理解しに行けばいい」
「っ?!」
「それが調査兵団だろう?」
ハンジの言葉に皆が固まった。
行くとは?マーレに?自分達が?
「ヒィズルにお願いしてマーレに拠点を作って潜入しよう!マーレがどんな国なのか、行ってみようじゃないか!これも、壁外調査だよ!」