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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第51章 #51 偽物の好き



「………」
「リリア兵長?」
「お兄ちゃんが死んだ事で、守る対象が妹の私に移っただけだ……それに加えてお兄ちゃんが私の事を頼むと言ったから……それを命令として従ってるだけ」

ポロポロとリリアの瞳から涙が溢れ、エレンが慌てる。

「リヴァイの私への『好き』は偽物だ……」
「そんな訳ないです!!」

大きな声を上げるとエレンは立ち上がりリリアの前に移動して膝を付いた。

「その水も、帽子も服も!全部リリア兵長の事を思ってリヴァイ兵長が用意してくれた物でしょう?何を持たせたらリリア兵長が快適に過ごせるかなってリヴァイ兵長がちゃんと考えたんですよ?その想いは本物でしょう?」
「……」
「例えば、例えばですよ?リリア兵長を好きになったのが習性的なものとして、それはただのキッカケにすぎません。今この時、リヴァイ兵長がリリア兵長の事を大好きだっていうのは紛れもない事実です!違いますか?大事なのは過去じゃない、今です!」

エレンの言葉にリリアは目を丸くして涙を拭いた。
そうだ、大切なのは今なのだ。
リヴァイがリリアを"今"好きなのは誰が何を言おうと変わらない。

「そうだね…」
「そうですよ!リリア兵長とリヴァイ兵長はこれから先もずっと仲良しです!それはオレが保証します!!」
「………エレンは未来が分かるの?」
「えっ?!あ、いや……でも絶対ですから!!」

と、その時だ。
ゴホンという咳払いが聞こえ、エレンとリリアが顔を上げると、そこにはハンジとリヴァイが立っていた。
エレンは慌てて立ち上がり、リリアはギュッと身を縮めてしまった。

「あー…ごめん。立ち聞きするつもりはなかったんだけど……うん、まぁその話は後にして……とにかく!!集合!!」
「は、はい……リリア兵長、行きましょう?」

しかしリリアは動こうとしない。
するとリヴァイがエレンに声を掛けた。

「お前は先に行け」
「でも……」
「大丈夫だ。行け」

はい、とエレンはリリアを気にしつつ他のメンバーの所へと向かった。

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