第51章 #51 偽物の好き
「おっと、引き止めてしまってすみません。行ってらっしゃい」
和かな笑顔でリリアを見送るイェレナ、リリアは彼女の言葉に引っ掛かりながらも104期達との集合場所へと足を進めた。
彼らと合流し、鉄道作りを始める。
リリアも片手ながら重い材料を運んだり、ハンマーで路線を叩いたりと、彼らに劣らない働きをしていた。
「んー!!むんっ!!」
勢いよくリリアがハンマーを振り上げる。
それをジャンとコニーが呆気にとられて見ていた。
「リリア兵長、片腕ですげぇ…」
「両腕の俺らより威力あるな…」
「ほらほら二人共!!手を動かして!!」
はいっと二人は返事を返した。
「リリア兵長、ちょっと腕見せてもらっていいですか?」
「腕?」
ジャンに言われ、リリアは袖を捲り腕を見せた。
ちょっと失礼します、とジャンが腕を軽く掴むとジャンは目を見開いた。
「すげぇ筋肉!!!やべぇ!俺よりやべぇ!!細いのにやべぇ!!」
「マジか?!ちょっ、リリア兵長オレも失礼します!」
コニーもリリアの腕を掴むと驚きの声を上げた。
「やべぇ!!」
「ちょっと……これでも女なんだから…やべぇって…」
「す、すみません!でも…筋肉凄いっすね。見た感じは細くて綺麗なのに…」
「片腕しかないからね、ハンデがある分鍛えないと皆の足を引っ張っちゃうでしょ?」
もう一度ジャンが腕を掴んだ。
「一体どんな訓練したらこんな筋肉が……」
「ジャンも片腕で腕立て伏せ毎日200回と、誰かを背中に乗っけて50回すればいいよ!リヴァイなんて重くて丁度いいよ?」
「リヴァイ兵長乗っけてやってるんすか?!」
「容赦なく体重乗っけてくるからねー!効くよ?」
あはは、とリリアが笑いながら答える。
とても笑えない、迷惑をかけまいとそんな過酷な事をやっていたのかと、二人は頭が上がらない。
「俺達も頑張ろうぜ…な、ジャン」
「おぉ…」