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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第50章 #50 ジークの秘策



「本日は両国にとって歴史的な日です。この日を迎えられたのは私達を引き合わせてくれたジーク・イェーガーの存在が不可欠でした。私共は彼と密会し、ミカサ様への取り継ぎを条件にある取り計らいに賛同しました事を報告させて頂きます」

キヨミ曰く、ジークはパラディ島から持って帰った立体機動装置を彼女に渡したらしい。
立体機動装置を動かすには氷爆石が必要となる。
氷爆石はパラディ島以外では採掘出来ない未知の地下資源だ。

「ジーク・イェーガーは自分の計画に協力するなら傾いた国家が大国に返り咲く程の産業を手にするでしょうと提案してきたのです。まだ埋蔵量も調査した事ありませんのにねぇ。ですがそれが事実なら、この近代化の時代において金銀財宝に等しい資源が眠っておられるのです」

ミカサが眉をひそめた。
自分はダシに使われただけでは、と。

アズマビトは金の匂いに鋭いため交渉は上手く行くとイェレナが言ってた。
儲け話もなしにこの島に来る危険は犯せない。


「それで、ジーク・イェーガーとの取り計らいとは一体なんでしょうか」

ヒストリアがキヨミに問う。

「ご存知の通り、ジーク・イェーガーは秘策があると主張し、それにはヒィズルの介入が不可欠だと言います。こちらは地鳴らしでこの島を守るために必要な3つの過程です」

外にいるリリアとリヴァイは静かに話を聞いていた。
3つの過程とはなんだろうか。

一つ目は地鳴らしの実験的活用、その力の一部を公開し、世界に破壊力を見せつける。
二つ目がヒィズルの介入。地鳴らしが必要なくなるまでこの島の軍事力を世界の水準並みに底上げする事が目的。そしてその期間における始祖、及び王家の血を引く巨人、両者の継続的な維持、これが三つ目の過程。

ジークは獣の巨人を王家の血を引く者へと継承、その者は13年の任期を終えるまで可能な限り子を増やす事。

リリアは目を見開いた。
いくら地鳴らしが自分達の存続に必要といえど、そのやり方では確実にヒストリアが犠牲になる。

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