第50章 #50 ジークの秘策
(他の兵器が発達しても地鳴らしは強力な兵器だ。手放す事が出来なければ何世代にも渡り継承は繰り返されていく。今私達が助かるためならこんな解決不可能な問題を未来の子孫達に残していいのか?良いわけがない!しかし…)
他の方法が思い浮かばず、ハンジは歯を噛み締めた。
「分かりました。私は獣の巨人の継承を受け入れます。地鳴らしが我々の存続に不可欠である以上は」
ヒストリアがキヨミに返答したが、エレンが立ち上がり皆がエレンを見つめる。
その表情はとても険しいものだ。
「壁を破壊し蹂躙された挙句、家畜みてぇに子供を生まされ殺されて、やっと生きる事が許されるっていうのならオレは……ジーク・イェーガーの計画は到底受け入れられません!」
ヒストリアの瞳に涙が浮かぶ。
エレンはやはりヒストリアを犠牲にはしたくないのだ。
「地鳴らしの維持に我々の命運を委ねるのは危険です。残された時間の限り、あらゆる選択を模索するのが我々が取るべき最善策ではないでしょうか」
リリアは鼻を啜った。
エレンの気持ちが嬉しい、こんなにもヒストリアの事を思ってくれている。
話し合いはここで終わり、リリアとリヴァイもその場から静かに立ち去った。