第50章 #50 ジークの秘策
リリアは手に持っている海老を見ると、立ち上がりニコロの所へと向かった。
そろそろ壁内へ戻る時間だ、このご飯を包んで持って帰り、美味しい食べ物をリヴァイとハンジにも食べて欲しい。
「ニコロ、このご飯持って帰りたい」
「土産か?ちょっと待ってろ」
少し大きなお弁当箱にニコロはご飯を包んでくれた。
嬉しそうに受け取る姿にニコロは再びジッとリリアを見つめる。
(俺達と……何にも変わらない………悪魔……か…こんなに良い笑顔見せるのに…)
「ニコロ?」
「あ?あぁ、冷めても美味いから。ただあまり日にちは置くなよ」
「うん!!ありがとう!じゃあ皆、私はここまでだからあとはお願いね?」
「はいっ!」
リリアは104期のメンバーに手を振ると、壁内に戻るために立ち去った。
その後ろ姿を見ながら、近くにいたイェレナが口を開く。
「彼女は本当はあんなに明るい方なんですね」
「そうですよ?」
アルミンが答えると、そうですか、とイェレナは頷いた。
「初めて会った時以来でしたから、あの時は情緒が不安定になっていたらしくあんなに明るい人には見えませんでしたので。少し驚きました」
「やっと元気になったんです。色々あって酷く弱ってしまったので…リリア兵長は。好きな人には懐っこくて明るくて可愛らしい方ですよ!」
「ふふ、"好きな人には"というのがポイントですね」