第6章 #06 新兵勧誘式
「エレン、長い時間お疲れ様。落ち込まなくて大丈夫だよ?最初はみんなこんなもの!」
「リリア兵長……」
「リヴァイは特に速いから着いていくの大変だけど、きっと出来るよ!そのためにはまず馬と仲良くならないとね!」
「……はぁ」
リリアがエレンの乗っている馬を優しく撫でる。
「馬は乗ってる人の気持ちが分かるから、エレンが焦ったら馬にも気持ちが伝わっちゃうよ」
「そうですね」
「また今度一緒に走ろうね!今日はこれで!!」
「あ、はい!!ありがとうございました!」
エレンが頭を下げるとリリアはまたね、と手を振って馬屋から出た。
するとリヴァイがリリアの前に立ち手招きをした。
「今から少し走る、来い」
「いいの?疲れてない?」
「なんの収穫も無しに帰れねぇだろ、少しだけだ。馬を連れて来い」
「うん、ありがとう!」
目を輝かせてリヴァイを見るリリア、リヴァイはスッと視線を逸らし早くしろと呟いた。
リリアがリヴァイと自分の馬を連れてきたその時、調査兵団を志願した訓練兵達が前を横切った。
するとエレンが彼らに向かって声をかけ、嬉しそうに駆け寄る。
「おい、ミカサ!アルミン!!」
「エレン?!」
「しばらく振りに会った気がするぞ!」
ミカサと呼ばれた女の子がエレンの手を握り心配そうな表情を浮かべた。
リリアが彼女をじっと見つめる。
確かミカサ・アッカーマンという名の訓練兵、確か104期生の主席というのを資料で見た気がする。
隣にいるのは先日自分にエレンの事を聞いてきたアルミン、彼らは調査兵団に入ったようだ。
「エレン、何か酷い事はされてない?体を隅々まで調べ尽くされたとか、精神的苦痛を受けたとか」
「ねぇよ、そんな事は」
「くっ…あのチビは調子に乗り過ぎた。いつか私が然るべき報いを……」
「まさかリヴァイ兵長の事を言ってんのか?」
隣にいるリヴァイを見たリリア、リヴァイは気にせずに馬を引いてその場から離れ、リリアもリヴァイについて行った。
「然るべき報いを与えるみたいだよ?」
「うるせぇ、さっさと行くぞ。暗くなる」