第48章 #48 反マーレ義勇兵
到着したのは浜辺だった。エレンはリリアを座らせると自分も横に座った。
何があったのか聞く事もなく、ただエレンはリリアの隣で海を眺めている。
水平線の向こうから太陽が昇り始め、二人を照らし始めた。
「綺麗ですね」
「うん……」
リリアがクスッと笑う。
「兵長?」
「いや、この前と逆だなぁって。今回は私がエレンに元気付けられちゃった」
そうですね、とエレンが微笑む。
どうにかリリアが笑ってくれ、胸を撫で下ろした。
「……あの人達、反マーレ義勇兵なんだって。ジーク・イェーガーの命を受けてパラディ島に来たんだってさ」
「え?」
「ジーク・イェーガー。獣の巨人の奴の名前……途中で飛び出してきたから内容は分かんないけど……要するにコチラと手を組もうって事でしょ?なんで……」
リリアは頭を抱えて俯いた。
「なんでお兄ちゃんを殺した相手の言う事を聞かなきゃいけないの……味方になるっていうなら獣にやられた人の命は何の為に……お兄ちゃんは何の為に死んだの……」
「リリア兵長……」
「手を組みたいって言うなら…お兄ちゃんを返してよ……私の……お兄ちゃんを……返して…」
嗚咽を漏らし、リリアは再び泣き出してしまった。
優しくエレンが背中を撫でる。それしか出来ない。
暫く泣くとリリアは鼻を啜り顔を上げた。
いつまでも泣いていてはエレンに心配をかけてしまう。
「ごめんね、エレンに心配かけるなんて」
「いいえ、側にいる事しか出来ないですけど…」
「……優しいね、ありがとう」
「姉ちゃんと思ってる人が泣いてたらそりゃ心配しますよ!」
目を見開くリリア、"姉ちゃん"という言葉に驚いてしまった。
以前エレンはリリアに、姉がいたらこんな感じだろうかと言っていた。
彼は本当にリリアを姉の様に思っているのだろう。