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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第48章 #48 反マーレ義勇兵



「しかしもうすぐ夜が明け、巨人が活動する頃ですよね。今我々が壁の外でのんびりお茶できるという事は、島の巨人を全て殺してしまった、という事でしょうか」
「だったらどうする。何とかしてマーレに伝えるか?」

リヴァイの言葉にイェレナは目を見開いた。

「いや、素晴らしい。期待以上だ」
「2つ目の理由は?」

「現在マーレは複数の国と戦争状態にあり、パラディ島どころでは無いという訳です。あなた方はマーレが誇る戦士隊を打ち負かし、さらに超大型巨人や、女型の巨人といった主力兵器を奪った。マーレは敵の多い国ですので、諸外国は瞬く間に団結し、戦争の火蓋が切られたのです」
「するとあなた方はマーレに恨みを持つ某国の民であり、マーレ軍に潜入する諜報員のようなものなのかな」

イェレナとオニャンコポンはハンジの言葉を聞いても返事はせず、ジッと見つめているだけだった。

「お?当たり?やっぱりマーレに背くからにはそれなりの動機と後ろ盾がないとねぇ」
「諜報などと呼べるような代物ではありません。マーレに故郷を奪われ、兵士として徴用された我々は、とても非力で、あの大国に抗う気概は失われつつありました。彼に…導かれるまでは……」

イェレナは持っていた紅茶を机に置くと、視線を下げた。

「マーレや世界の人々が悪魔と呼んで恐れる巨人、私には全く別のものに見えた。神です…無力な私達に希望を見せてくれました」

リリアがイェレナを見つめる。彼女の脳裏に浮かんでいる巨人とはなんなのか。
かなり心酔しているように見える。

「私達はジーク・イェーガーの命を受け上官を撃った、反マーレ義勇兵です。その目的は全エルディア人の解放」
「ジーク・イェーガー?イェーガー?」

リリアがイェレナに問う。
どういう訳か姓がエレンと同じだ。

「はい。獣の巨人である、ジーク・イェーガーです」

リヴァイが目を見開く。
するとリリアがバァンと机を叩いて立ち上がった。
瞳孔が開き、歯を噛みしめ、握った拳は震えている。

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