第48章 #48 反マーレ義勇兵
ハンジはイェレナとその付き添いであろうか、共に降りてきた肌の黒い青年をテントに招いた。
隣にはリヴァイ、そしてその横にはリリアが座る。
イェレナと共に来た青年の名前はオニャンコポンというらしい。
互いに名前を伝え合った後、軽く会話をしハンジは彼らの持っていた武器に興味を抱き、イェレナに見せて欲しいと申し出た。イェレナは良いですよ、と躊躇せず銃を渡した。
ただリヴァイとリリアは特に彼らと会話をする事はなく、何かおかしな事をしてこないかジッと見つめていた。
「ふむ、ほぉーー?へぇー成程!こうやって何発も撃てる訳か」
「それらはマーレ兵の基本装備です」
ハンジは興味津々に銃を見ているが、リヴァイは鋭い視線をイェレナから離さない。
リリアもリヴァイを挟み、ハンジの持っている銃を見ていた。
「マーレ兵は1師団あたり約2万人で構成され、総員50師団で約100万人になります。それら陸軍に加え、21隻の戦艦からなる3つの艦隊を有し、その他新兵器の進歩も目覚ましく、航空戦力にも力を注いでいます」
「こうくう………?」
航空の意味が分からずハンジがどもる。するとリヴァイがハンジの足をガンっと蹴った。
「チッ……ビビってんじゃねぇよ、舐められるだろうが」
「分かってるって…」
「ようするに海や壁を越え、敵が空から現れる移動兵器の事です」
「えぇぇえ???空から来るのぉ??」
「オイ!!」
ハンジが恐る恐る口を開く。
「そんだけの力を持ったマーレ様が少なくとも1年間、まともに攻めて来なかった理由って……何……?」
「主に理由は2つ。1つは島に何放った無垢の巨人が、最新鋭の兵器を持ってしてもいまだ上陸困難な障害である事。マーレがエルディア人を壁の中に幽閉するための政策でしたが、逆に進軍からエルディアを守る存在となっていたのです」
「らしいな。そいつは笑える」
イェレナは不思議そうに外の方へ視線を向けた。
外はもう少しで夜明け、巨人がいるのならばこんな時間、こんな場所でゆっくり過ごしている場合ではない。