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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第6章 #06 新兵勧誘式



「リリア、お前には森に入ったリヴァイ班から、ある程度距離をとって先頭を走ってもらいたい」
「距離をとる?」
「そう、5秒だ。リヴァイから5秒離れた前方を走り、指定地点まで走れ。お前が我々の前を通り過ぎた5秒後に私が発射の指示を出す。発射から巨人までの距離を考え発射指示を出し巨人に拘束具を当てる。1秒早くても、遅くてもいけない。5秒だ。やってくれるな」

リリアは暫く固まっていたが、はい、と返事をした。

要するに、自分を目安にして発射の指示を出すから絶対に失敗するな、という事だ。
早過ぎれば巨人当たるどころかリヴァイ達に当たり、遅ければ巨人に当たらない可能性もある。

「話は以上だ。遅くまでご苦労だった。明日から壁外調査当日まで準備をしてくれ」
「はっ!!」

話が終わり皆が部屋を出ていく。
その際になぜか皆がリリアの肩を叩く。おそらく先程のエルヴィンからの指示のせいであろう。
頑張れよ、と言いたげだ。リリアが口を尖らせた。

「皆がプレッシャーかけてく…」

ここに集まっている者達は5年以上調査兵団をやっている者達、5年前に調査兵団に入ったリリアの本当の性格を知った者しかいないため、皆遠慮がない。
リリアは隣に座っていたリヴァイを見た。

「5秒って!5秒!!」
「うるせぇ」
「あーーー!!!」

リリアが頭を抱えるとエルヴィンがポンポンと頭を叩いた。

「難しい事を言ってすまない。だがこれを任せられるのはリリアしかいないと思っている。この中でリヴァイに合わせられるのはお前くらいだろう?」
「いや……うん…そうなの?」
「頼んだぞ」

エルヴィンはリリアの頭を撫でると部屋から出ていった。
残ったのはリヴァイとその様子を眺めていたハンジとミケ。
リリアは立ち上がるとリヴァイの手を握り力を込めた。

何だ、とリヴァイが驚き目を見開く。

「リヴァイ!!お願いしますっ!!付き合って!!」
「………」
「訓練……お願いします。ハンジとミケも助けてぇー!!」
「あはは!分かったよ、付き合うから頑張ろう?」

ハンジがそう答え、ミケもうんうんと頷いていた。
リリアが目を輝かせる。

「はぁぁぁん……ありがとう」
「……離せよ」


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