第6章 #06 新兵勧誘式
新兵勧誘式が終わるとすぐに壁外調査の作戦を聞く事となり、調査兵団の班長クラスの者達が集められ、長距離索敵陣形の作戦が伝えられた。
しかし重要な作戦会議はその後だった。
夜も更け殆どの兵士達が寝静まった頃、それは行われた。
部屋には5年前、ウォール・マリア放棄以前から生き残っている兵士達が集められていた。
部屋の壇上にエルヴィンが立ち、話を始める。
「皆、こんな時間にすまない。これより次回壁外調査での本来の説明を始める。一言で言えば、巨人捕獲作戦だ」
皆が顔を見合わせる。
「私は兵団の中に、エレンと同じ知性を持った巨人がいると思っている。その理由はトロスト区の内門を破壊しなかった事からだ。それは何故か、エレンの巨人化を目撃したからだ。そして被検体二体を殺した事により、兵団側にスパイがいる事を確信した」
ハンジが眉をひそめた。
ソニーとビーンを殺された事は今もつらい。
「知性を持った巨人の目星はある程度つけている。104期訓練兵だ」
辺りが騒めく。
「それを踏まえた上で、今回の新兵勧誘式にも敢えてエレンの事や、地下室の事も話した。これで遠征に出た際、もし巨人の秘密を知られてはまずいのならば、巨人はエレンを狙ってくるだろう。今回、他の班にはエレンの位置をバラバラに伝えてある。それでも巨人がエレンを追ってきた場合は、調査兵団の中にスパイがいる事になる」
皆が驚きの声を上げる。
エルヴィンはすでにそこまで推測していたのだ。
地図を広げさらにエルヴィンが説明を続ける。
「作戦はこうだ。他の者には目的地は旧市街地と伝えてあるが、本当に向かうのは巨大樹の森。ここに中列のみ侵入し、進んだ地点に対特定目標拘束装置を設置、リヴァイ班がおそらく追ってくるであろう巨人をこの地点まで誘導し、拘束装置で捕獲する」
リヴァイは腕を組んだまま地図を見つめていた。
「そして、中の人間の捕獲だ。巨人は5年前のウォール・マリア崩壊後に侵入したとみて、ここにいる者以外にはこの作戦を伝えない。皆も決して漏らさないよう頼んだ」
「はいっ!!」
するとエルヴィンがリリアに視線を向け、それに気付きリリアが首を傾げる。