第45章 #45 すれ違い
「ねぇ?リヴァイに聞きたい事があるんだけど」
「何だ?」
「私の事を好きになったのっていつ?昔はあんなに嫌ってたのに急に優しくなったよね?」
「あー……」
言いづらそうに言葉を濁したが、ジッと見つめてくるリリアに観念したのか、大きな息を吐きリヴァイは口を開いた。
「お前が初めて巨人を倒したのを覚えているか?」
「うん、私の初壁外調査の時だね?リヴァイに巨人の前に放り出された時!」
昔、リリアが初めて壁外調査に出て、初めて巨人と遭遇した時、リヴァイはリリアを巨人の前に一人で出し倒せと言った。
リリアは怯え、なかなか足が前に出ず、後ろで見ていたリヴァイが痺れを切らせ倒そうとした時だった。
リリアは恐怖に打ち勝ち、一人で巨人を倒したのだ。
「あの後すぐにお前、嬉しさのあまり俺に抱きついてきた」
「あー!そう言えばそうだね!!嬉しくてつい!直ぐに跳ね除けられた記憶があるけど」
「あの時のお前の満面の笑みが脳裏に焼き付いた」
「……はえ?満面の……笑み?」
リヴァイと出会ってからリリアは一度もリヴァイに笑顔を見せた事がなかった。
自分もリヴァイが嫌いだったために、笑いかける事もしなかったのだ。
そんな彼女がリヴァイに笑顔を向けた、それがリヴァイにとってかなりの衝撃だったらしい。
ようするにリヴァイの一目惚れだ。
「それからお前がどうしたら笑うのかを模索し始めた。また見たかったんだ、笑った顔を」
「それで急に態度が変わったんだ。褒めたり、敬語はいいとか、甘い物くれたりとか…」
「モノで釣る作戦だ」
ふはは、とリリアが笑う。