第45章 #45 すれ違い
「ちゃんとまとめねぇと、危ねぇだろ」
「いいの、もうどうせ切るし」
「はぁ?」
「一人で結えないから切るの。だから気にしないで」
「俺に言えばいいだろうが」
リリアがムッとした表情で立ち上がる。
「リヴァイに頼みたくないの!!私はもう一人でやる、リヴァイには頼らない。だから私の事は放っておいて」
「両手があってもボタンもずらして付ける、リボンもまともに結べねぇ程の不器用が何言ってやがる」
「う、うるさい!私には構わないで!!」
「何で怒ってんだよ。俺が素っ気なくしたからか?」
リヴァイがリリアの手を取るが、リリアはそれを振り解いた。
はぁ、と息を吐きリヴァイも立ち上がる。
「悪かった。お前に気を使えてなかった」
「分かってるし、別にリヴァイは悪くないから。私はもうリヴァイに頼らないから疲れた時はゆっくり休めばいいし、私に構わず好きな事してよ」
「おい」
再びリヴァイがリリアの腕を掴むが、またもや振り解かれキツイ目付きで睨まれた。
「触るな」
リヴァイは目を見開いた。
ここまで拒絶されたのは初めてだ。
リリアは立体機動装置を持つとその場から離れた。リヴァイの方を振り向く事もない。
リヴァイは追いかける事が出来ず固まった。
かなりショックだ。
確かに素っ気ない態度を取ったのは悪かったと思っている、しかしリヴァイも疲労がピークだったのだ。
リリアに構う余裕もない、それを分かってくれていると思ったのだが。
リヴァイは大きく息を吐く。
相手がリリアなのを忘れていた、あの子は誰よりも甘えたがりの寂しがりだ。
それでも彼女は我慢していた。疲れていたリヴァイを心配もしていたし、こんなすれ違いな状況はダメだと話題を振ってくれたりもしたのに、リヴァイはそれを全て跳ね除けてしまっていた。
「あー……クソ…」