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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第44章 #44 海へ



そんな中、ジッと海の向こう側を見つめていたエレン、彼にアルミンが嬉しそうに声を掛けた。

「ほら、言っただろ?エレン。商人が一生かけてでも取り尽くせないほどの巨大な塩の湖があるって。僕が行った事、間違ってなかっただろ?」
「あぁ……すっげー広いな」
「うん………ねぇエレン、これ見てよ!壁の向こうには…」

「海があって…」

海の中にあった貝殻を拾い、見せようとしたアルミンの言葉をエレンが遮った。

「海の向こうには……自由がある。ずっとそう信じてた。でも違った。海の向こうにいるのは敵だ。何もかも親父の記憶で見たものと同じなんだ」

ゆっくりとエレンが振り返る。
その表情に笑顔はなく、つらそうな、そんな表情をしていた。

「なぁ……向こうにいる敵、全部殺せば…俺達…自由になれるのか?」


そんなエレンを少し遠くから見ていたリリア、そして自分も海の向こう側を見た。
この綺麗な海の向こう側には、自分達を滅ぼそうとしている人間達がいる。
壁から出れば自由があると、自分も信じていた。


だが現実はそんなものは無かった
自分達の周りには
敵しかいない


「もし……」

ハンジとリヴァイがリリアを見た。

「もし……お兄ちゃんが生きていたら……どうしただろうか」



"何だ?リヴァイ"

"気の早い話だが、ウォール・マリアを奪還した後はどうする。何より防衛策の確立が先だと思うが、その後は?"

"脅威の排除だ。壁の外にはどうしても我々を巨人に喰わせたいと思っている奴がいるらしいからな。もっとも、それが何なのかは地下室に答えがあると踏んでいる。だからさっき言った通りだ。地下室に行った後に考えよう"



(お兄ちゃんはエレンの父親が壁の外から来たと知った時、リヴァイからの問いに"脅威の排除"と言った。でもそれは地下室に行く前の話、真実を知ったお兄ちゃんなら、どういう判断を下しただろう)



壁の向こうには海があった

その向こうには敵がいる

自由は


なかった



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