第44章 #44 海へ
「ハンジ?」
「もう大丈夫?エルヴィンの事」
「……たまに寂しくなって泣いちゃう時もあるけど、そういう時はリヴァイが側にいてくれるから大丈夫」
「そっか。なら良かった」
ハンジはリヴァイを見た。
リヴァイはマントと靴を脱いでいるようだが、濡れた靴がなかなか脱げないのか一人苦戦している。
そんな姿を見てハンジはフッと柔らかく笑い、再びリリアを見ると手を伸ばしギュッと抱きしめた。
「ハンジ?」
「リリアが元気になってくれて良かった……私はさリリアの事は君が調査兵団に入る前から知ってるから……生きていてくれてありがとう。リリアを傷付けた事も言ったと思う…ごめんね」
「ううん、ハンジ。腕のなくなった私をまだ調査兵団に置いてくれてありがとう。お兄ちゃんみたいに頭が良いわけじゃないから…あんまり使い物にならないかもしれないけど、みんなの足手まといにならないようにもっともっと頑張るから!」
ハンジはリリアから離れると、リリアの手を取り手の平を上に向けた。
その手はマメが潰れて皮が剥けている。
壁外調査に一緒に行きたいがために必死に訓練したのだ。
「こんなにボロボロになって……こんなに頑張ってるリリアを辞めさせるなんて事するわけないだろう?リリアは昔から努力をする子だ、その姿をちゃんと見てるよ」
「ハンジ……」
「エルヴィンのようにはいかないかもだけど、団長として私も頑張るから、リリアも助けてくれると嬉しいな」
「勿論だよ!何でも言って?私に出来る事は精一杯やるよ!」
満面の笑みをハンジに向けると、クゥ〜ッとハンジは拳を握るとリリアの肩を掴んだ。