第43章 #43 兵士長二人の恋愛事情
その後二人は訓練場へと向かった。
リリアが本当に壁外に出ても大丈夫か確認するためだ。
片腕を失い今までとは戦い方が変わる、立体機動装置の扱い方もブレードの使い方も以前とは違う。
リヴァイは正直無理だと思っていた。
元々リリアは不器用で、最初の頃は立体機動も武器の扱いも上手くはなかった。それを彼女の努力で改善し実力を付けていったのだが、片腕になりおそらく本人の思う通りには動けないだろうと。
しかしリリアはリヴァイの見ていない所でやはり努力をしていた。
残された右腕の筋力の強化、体幹も鍛え直し、馬に乗るのは勿論、立体機動装置の扱い方もほぼ大丈夫と言っていい仕上がりになっていた。
ただやはり片腕のため、巨人が出現した際うなじを一発で削ぐ事は不可能だ。
「もし壁外で巨人が出たらお前は直ぐに下がれよ」
「うん、でも大丈夫だと思うけどな…」
「無理だ。それだけは許可しない」
はい、とリリアは諦め返事を返した。
「少し休むか」
「うん!」
二人は木影に座ると作って持ってきていた紅茶をカップに入れた。
するとリヴァイがリリアに手を差し出した。開かれた手の平には砂糖菓子が乗っている。
「頑張った褒美だ」
「わぁぁ!!やったぁ!」
とても嬉しそうにそれを頬張るリリアを見て、リヴァイは小さく笑った。
木にもたれ掛かり空を見上げると雲一つない綺麗な青空が視界に入る。
木々の隙間から降り注ぐ陽の光にリヴァイはゆっくり目を閉じた。
静かなリヴァイにリリアが顔を覗き込む。