第42章 #42 お帰りなさい
リヴァイは再びリリアを力一杯抱きしめた。
「リリア……リリア…」
「リヴァイ、痛いよぉ」
「あ……悪い…」
「帰ろ?暗くなってきちゃったね」
二人は自然と手を繋ぎ、兵舎へと足を進めた。
暗くなってきた空に一つだけ輝く星が見える。先程の告白に恥ずかしくなり、お互いに会話はない。
だが手はしっかりと繋がれている。チラリとリヴァイを見ると少しだけ頬が赤いような気がした。
「今日は……」
「へ?あ、はい?」
「今日は…俺のところで寝ねぇのか?」
「あ、え?いや、私はその…」
「…深読みするな。前にも言ったが俺はベッド使わねぇから…なんだ…お前さえよけりゃ俺の部屋で寝ればいいじゃねぇかと…手は出さねぇよ」
リヴァイはただ単に自分の側でリリアを見ていたいだけのようだ。
「う、うん……じゃあ行く」
「おぅ」
会話はそこで終わり、二人は再び黙ったまま手を繋いでリヴァイの部屋へと向かった。
部屋へ入るとリヴァイは机に着き資料を広げた。どうやら仕事がまだあるらしい。
「私も手伝うよ?」
「いや、大丈夫だ。少ししかねぇ。お前は好きにしてろ」
リリアは申し訳なさそうに窓から外を見ると、あっ、と声を上げた。
チラチラと白い雪が降ってきている。
「リヴァイ、見て?雪だよ」
手招きをされ、リヴァイはリリアの横に立ち窓から外を見た。
「寒いはずだな」
「私、あんまり雪って良い記憶がないんだけど、今日のこの雪の日は一生忘れないな」
「何故?」
「リヴァイと想いが通じた日だから」
へへへ、とリリアはリヴァイを見ながら笑った。
するとリヴァイはゆっくりと近付きリリアの頬に優しくキスをした。
「……唇にはしてくれないの?」
「これが俺の今出来る精一杯だ。悪いな…こう見えて俺は恥ずかしがり屋だ」
「えぇえ?」
リヴァイがギュッと抱きしめる。
触れ合った体がとても温かい、二人は目を閉じて暫くの間抱きしめ合った。