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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第6章 #06 新兵勧誘式



待機室へ戻るとリリアは椅子に腰掛けているエルヴィンの隣に腰を下ろした。

「話は終わったか?」
「うん」

リリアは視線を真っ直ぐにし、暫く何も喋らなかった。
エルヴィンがリリアを覗き込む。

「どうした?先程の事を怒っているのか?」
「ん?いや、私が調査兵団に入った理由を聞かれてね。昔お兄ちゃんに反対されたのを思い出して」

そうか、とエルヴィンが返すと外から兵士がエルヴィンを呼んだ。
そろそろ勧誘式が始まるようだ。


「では行ってくる」
「うん、いってらっしゃい」

壇上へと向かうエルヴィン、目の前にはこれから所属兵団を決断するたくさんの訓練兵達、エルヴィンの演説を聞き何人の訓練兵が残るだろうか。
恐らく彼らが怯えるような内容を言うだろう。
だがそうしなければならないのだ。

恐怖に打ち勝った心の強い者が調査兵団には必要だ。

そしてこの中に、エルヴィンが撒く餌に食らいつく者がいるのかどうか。


「…喰いつけ……」

リリアはそう呟くと、自分も待機室を出て壇上の端から演説を見守った。


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