第42章 #42 お帰りなさい
トロスト区へ戻り、遺品は彼らの上官であるハンジ、リヴァイ、リリアによって遺族の元に帰された。
その日、エルヴィンの遺骨も無事に墓への埋葬が終わり、墓石に花を置きリリアは手を合わせ、それを後ろからリヴァイが見守っていた。
「お兄ちゃん、私お兄ちゃんが見られなかったこの先の世界を代わりに見ていくって決めたんだ。だからこれからも私の事、見守っててね」
エルヴィンがリリアを生かしたかった理由は何だ、愛しているから?もちろんそれもあるだろう。
しかし……
"死んでいった兵士達に意味を与えるのは我々だ
あの勇敢な死者を、哀れな死者を思うことが出来るのは生者である我々だ"
"我々はここで死に、次の生者に意味を託す"
"それこそ唯一、この残酷な世界に抗う術なのだ"
「次の生者に……意味を託す…」
ゆっくり立ち上がりリリアは墓石に向かって敬礼をした。
「私はこれから先もエルヴィン・スミスに心臓を捧げます。でもお兄ちゃんの為に死ぬとかそんなのじゃない、お兄ちゃんの見られなかったこの残酷な世界の未来を生きて、見せる為に…」
リリアは小さく息を吐くと振り向きリヴァイを見た。
「帰ろ?寒くなってきちゃった!」
「あぁ」
後ろを歩くリヴァイ、リリアはどんどん先に進んでいく。
すると何故か足が止まってしまった。
自分から距離が開くリリアの後ろ姿をジッと見つめたリヴァイ。
脳裏に浮かぶ
昔の事