第42章 #42 お帰りなさい
リリアは出撃した調査兵団の名簿を手に、火葬の終わった遺骨と遺品を兵士達から受け取っていた。
やはり中には遺品さえも見つからない者もいる、少しでも何か残っていれば遺族の元へ連れて帰れるのだが。
「リリア兵長、お願いします」
「はい」
ジャンが小さな箱を持ってリリアの元へ来た。
「身元は分かる?」
「はい、マルロです。マルロ・フロイデンブルク、覚えてますか?リリア兵長に憧れてたオカッパの」
「勿論、彼は最後まで皆を鼓舞してくれた」
箱を受け取るとリリアは目を閉じて頭を下げた。
「マルロ、お疲れ様でした。ありがとう」
「良かったなぁ、マルロ!憧れのリリア兵長に触れてもらえてよ!リヴァイ兵長には黙っとくからな!」
「ジャン!」
あはは、とジャンが笑う。
しかしすぐにその笑いも消えてなくなった。
「あまりにも多いですね…失った命が」
「……そうだね」
「生き残った自分達は本当に奇跡だった気がします」
「……いなくなった人達の分まで前へ進まなくちゃいけないね」
「そうですね……っと、俺行きます!」
ジャンは頭を下げてその場から離れた。
リリアも名簿に目を落とし、マルロの名前の欄に印を付けた。
その名簿の先頭は団長であったエルヴィンの名前、そろそろ区内の部隊が合流する時間だ。