第41章 #41 貴方の匂い
皆が壁外調査へ出ている間、リリアはひたすらに訓練に励んだ。
本当はまだ静養しておかなくてはいけないのだが、そんな事は言ってられない。
早く体力を戻し次の壁外調査へは共に行きたい、そう思っていた。
しかし数日経っても調査兵団は戻ってこない。
今までこんなに時間がかかる事はあっただろうか、早い時は半日で戻ってくる事もある。
食堂でサシャと一緒になったリリアは窓から外を見ながら呟いた。
「みんないつ戻ってくるんだろうね。物資足りてるかな…」
「そんな事よりリリア兵長!そのトマトは食べないのですか?!残すのなら勿体ない!!頂きますよ!!」
「へ?」
トレーに残しておいたトマト、片手で簡単に食べられ甘いため、最後に食べようと取っておいたのだが、サシャに一瞬にしてパクリと食べられた。
「あぁぁあ……甘いからデザートにしようと思ってたのに…サシャーー!!」
「…すみません…」
そっと手の平にトマトのヘタを渡された。