第41章 #41 貴方の匂い
部屋に戻るとまずは掃除から始まった。
暫く戻っていなかったために埃っぽい。窓を開けリヴァイと共に部屋の掃除を開始した。
綺麗好きのリヴァイだ、さすがにチェックが厳しくなかなか掃除は終わらない。
ようやく終わったと外を見るともはや暗い。
「ひぇっ!もう真っ暗だよ!!」
「チッ…まだ窓枠の隙間が…」
「もういい、もういい!!あとは自分でやります!リヴァイは壁外調査の準備とか色々あるでしょ?」
そう、もう壁外調査が近い。
準備をしなくてはならないのにいつまでも自分の部屋の掃除に付き合わせられない。
「気にすんな」
「もう十分だから、部屋に戻って?ありがとう」
分かった、とリヴァイは掃除用具を持ちドアに手を掛けた。
振り向くとリリアが笑顔で手を振っている。
「おやすみなさい!」
「……一人で大丈夫か?」
「大丈夫、ありがとう!また明日ね」
扉を閉めリヴァイは部屋へと戻った。
道具を片付け、手を拭き、椅子に座り机の上に置いてある書類を見つめ息を吐く。
ペンを進めながら視線の先にあるベッドをチラリと見た。
今までは病室で仕事をしながらふと視線を移すとリリアがいた。
しかし今はいない、これが普通なのだが結構な長い期間リリアの側にいたためにどうも落ち着かない。
ちゃんと寝ただろうか、泣いてないだろうか、そう考えると手が止まる。
「……はぁ……」
断られる事にここまでショックを受けるとは思っていなかった。
こうやってリリアはどんどん自分から離れていくのだろうか、一人でも大丈夫だと、自分は必要ないと。
やっと自分の手に届く所に来たのに…
ならどうして返事はいらないと言ってしまったのだろうか、本当は聞きたいくせに。
「……チッ…何でこんな事考えんだクソが」