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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第39章 #39 一歩前へ



アルミンが首を傾げたその時だ。
リヴァイが近付き彼らに声をかけた。

「オイ、ガキども。時間だ。並べ」

皆がその場から移動し始めたその時、リリアがアルミンの腕を引っ張った。
振り返ったアルミンは震えている、庇ってくれたとはいえリリアに恨まれていると恐れているのだ。
しかしアルミンに向けられたのは柔らかな優しいリリアの笑顔だった。

「アルミン、私もね、海を見たいの」
「え…?」
「ちょっと体力落ちちゃって今のままじゃ壁外出れないから、頑張って元に戻すからね!」
「リリア兵長……」
「だから一緒に海を見に行こうね!」

アルミンの瞳に涙がこぼれ、リリアがアルミンの頭を優しく撫でると恥ずかしそうに笑う。

「ありがとう……ございます」

その後ろでエレンとミカサが安心したように微笑んでいた。



「リリア」

リヴァイが声を掛けるとリリアはゆっくり振り返り、リヴァイの胸元にすっぽりと収まった。
隣にいたハンジが頭を撫でる。

「頑張ったね、今のでアルミンの心は救われたと思うよ」
「うん…」
「……リヴァイ、そこ変わってよ」
「あ?」

いつまでも移動しない二人に、今までの様子を遠くから見ていたナイルが声を掛けた。

「オイ、お前達も早く入れ。リリアちゃん、こっちおいで」
「それじゃあリヴァイ、行くか!リリア、見ててね」
「うん」

リヴァイから離れたリリアはナイルに手を取られ二人を見送った。
振り向くとリリアはずっとリヴァイとハンジに手を振っている。


「ねぇねぇ、何でエルヴィンとリリアはちゃんと兄妹に見えたのに、ナイル師団長だと親子に見えるのかねぇ?」
「……髭じゃねぇ?」
「髭か!」

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