第38章 #38 伝えたかった事
それから数日後、勲章授与式当日、朝起きるとリヴァイがリリアの団服を持って来ていた。
本人は既に着替え終えている。
「…おはよう」
「おぅ、着替えろ。出席はするんだろ?」
「うん」
リリアは片腕になってから一人でなかなか着替えが出来ない。
元々不器用なのもあり、かなり時間がかかる。
ボタン一つ付けるのも3分は経過するため、今日ばかりはリヴァイが手伝った。
リヴァイはリリアの着替えに慣れてしまい、服を脱がすのも躊躇しない。下着一枚になろうが顔色一つ変えずに淡々と着せていく。
(普通好きな人の着替え手伝ったりしたら少しは照れたりしないのかな……はっ!もしや私、そんなに身体に魅力がないっ?!)
ズボンの準備をしているリヴァイの隣でリリアは自分の体を見渡した。
確かにここ最近の不調で痩せすぎている気はする、胸も落ちた、筋肉も相当なくなった。
「……なんてこった…」
「あ?」
振り返ったリヴァイが固まる。
リリアが胸に手を当てて悲しげな顔をしているからだ。
「リヴァイが全然顔色変えないのは私に魅力がないからだね…」
「は?」
「おっぱいなくなったからだね!!!」
「……は?馬鹿言ってんな、早く履け。胸とか見てねぇ。もう何度お前の着替え手伝ってると思ってんだ、慣れだ」
そうですか、と不貞腐れながらリリアがズボンに脚を通す。
そしてコートを着せながらリヴァイは呟いた。
「まぁ…痩せすぎだな。もっと食って太れ」
「リヴァイ……やっぱりおっぱい大きい方が好きなんだね」
「胸の事じゃねぇよ。ちなみに俺はデカすぎは好きじゃねぇって何の話してんだ」
はぁ、と大きなため息をつかれた。
座れと促され椅子に座ると、今度はリリアの髪を結い始める。