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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第38章 #38 伝えたかった事



宿屋を出ようとすると女主人が二人に声をかけた。

「待ちなさいな!お嬢さんこれを、寒いだろう?」

リヴァイに背負われてるいるリリアに女主人は厚めの上着を掛けた。

「あんた達、調査兵団のリヴァイ兵長とリリア兵長だろう?シガンシナ区を取り戻してくれてありがとうね。よく生きててくれたね」
「あ……」
「きっと辛い事もたくさんあったろうに。早く元気におなりよ?」

「…ありがとうございます」

軽く会釈をし、二人は宿を出た。
外は寒いがリヴァイに触れている部分はとても暖かい、背中も貰った上着で寒くはない。
リリアはリヴァイの首元に回している手にギュッと力を込めた。

「寒いか?」
「ううん、平気」


病院に戻るとハンジと、心配し駆け付けたナイルが待っていた。
リリアの姿を見たハンジは両手を広げてリリアに駆け寄り抱きしめた。

「リリアーーー!!!」
「ハ…ハンジ…苦しいよ」
「良かった……本当に良かった……リリアにもしもの事があったら…」

そんな様子を見ていたナイルが口を開く。

「リリアちゃん、喋れるようになったのか?」
「はっ…!本当だ!!喋れるのっ?!」
「うん…」

「リヴァイ一体何したの…」
「何もしてねぇよ」

するとハンジはリリアの手を取り、戻ろうとリリアを病室まで連れて行った。
残されたリヴァイとナイル、安心したかのようにナイルは小さく息を吐いた。

「ありがとうな、リヴァイ。どこにいた?リリアちゃん」
「生家だ。最初エルヴィンの家に行ってもいなかった。あの二人の最初の出会いはリリアの生家だろ?だから行ったらいた」
「そうか…エルヴィンを待ってたんだろうな」
「だろうな、でも俺の顔見て大泣きしながら手を伸ばしてきた。それから喋れるようになっていた」

ナイルが微笑む。
その瞬間こそ、リリアがリヴァイを認めた時だったのだろう。
エルヴィンではなく、リヴァイが来てくれたあの瞬間が。


「リリアちゃんの事、これからも頼むな」
「……あぁ」


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