第37章 #37 夢の終わり
病室に戻ったリヴァイ、リリアはどこを見ているのか視線は合わず、無表情で新聞を握っていた。
リヴァイはその新聞を取り上げると握り潰してゴミ箱に捨て、椅子に座った。
会話はない、いつもの事だ。
ただ空気が一気に変わった気がする。
重い。
リリアの目に生気がない。
「………リリア、髪結ってやろうか」
リヴァイは棚から櫛を出すとリリアの隣に座り色の抜けた銀色の髪に櫛を通した。
今までなら嫌だとすぐに手を払われていたが、その元気もないのか無反応だ。
髪の毛を真ん中で二つに分け三つ編みにした。簡易だがボサボサの状態よりは良い。
「悪くねぇ出来だ」
リヴァイはリリアを見つめたがやはり視線が合わない。
頭を撫で自分の胸にリリアを収めるとポンポンと叩いた。
するとようやくリリアが反応を示す。
リヴァイの体を押し、離れてくれと拒否をした。そしてゆっくりと布団を被り目を閉じてしまった。
(早くどこかに行って……どうしてずっとここに居るの…)
"リリアが好きだからに決まってるだろ?"
そういえばそんな事をハンジが言っていた。
(リヴァイが私を好きとか有り得ないから……ただお兄ちゃんに頼まれただけで…)
ならばエルヴィンは何故リヴァイにリリアの事を頼んだのだろうか。
自分が信頼してたから?そんなの命令してもリヴァイが嫌がる可能性大だ。
エルヴィンの事は信頼していても何故その妹の面倒まで見なくてはならないのか、普通はそう思うだろう。
しかもリリアは特殊だ、あまりにエルヴィンへの執着が強すぎてこうなる事は分かっていたはず。
でもリヴァイはリリアを一人にしない、エルヴィンはそう思ったからリヴァイに託した。
何故?
(やっぱりお兄ちゃんも知ってたの?)
リヴァイはリリアが好きだから
絶対に見放さない
(……信じない。夢は叶った、私は……早く…お兄ちゃんの所へ行きたい)